いのちのとりで裁判~歴史的最高裁勝訴判決から第二次審査請求へ~

 

 2025年6月27日、最高裁判所第三小法廷(宇賀克也裁判長)は、生活保護基準引下違憲・違法訴訟通称「いのちのとりで裁判」)において、生活保護基準の引下げを違法と認める歴史的な勝訴判決を下しました。
 
 大阪訴訟と愛知訴訟での勝訴が確定したこの日は、2013年以来続いてきた原告・弁護団・支援者の長年にわたる闘いが実を結んだ瞬間でした。私は、途中(控訴審)から大阪弁護団に参加したものの、大阪高裁では敗訴し、必死でさまざまな起案や活動(最高裁要請行動)などを行っていたので、喜びもひとしおでした。しかしながら、判決から半年以上が経過した今もなお、問題は解決には至っておらず、新たな局面でのたたかいが続いています。

 最高裁判決のわずか数日後、国側は原告・弁護団との誠実な協議を求める声を無視し、「最高裁判決への対応に関する専門委員会」の設置を一方的に表明しました。これに対し弁護団は、"寝耳に水"の対応として強く抗議し、真摯な謝罪と基本合意書の締結に向けた協議を求める緊急声明を発出しました。

 その後、原告・弁護団は、2025年9月以降、専門委員会への出席を通じて意見表明を行い、さらに追加の意見書も提出しましたが、行政側との溝は埋まらないままでした。そして2025年11月、厚生労働省は新たな減額改定を含む対応策を公表するという、私たちにとって受け入れ難い方針を打ち出しました。

 この行政側の対応に対しては、多数の法曹関係者や研究者からも強い批判が相次ぎました。123名の研究者による声明、1300名を超える弁護士共同声明、そして日弁連会長声明が立て続けに発表されました。

 2025年12月9日には、350名以上が参加する緊急院内集会が開かれました。また2026年1月には厚労省との協議に局長らが初参加したものの、原告・弁護団の要望に応えることはありませんでした。

 そして、厚労省は、2026年2月20日、新たな告示を発し、再度の生活保護基準の引下げを行うことを明確にしました。

 厚生労働省の一連の対応は、明らかに「司法」の軽視であり、生活保護利用者の「人間の尊厳」を脅かすものとして、到底許されるものではなく、私たちは、第二次審査請求運動を行う方針です。新たな「司法」と「人間の尊厳」を守るたたかいに、引き続き、温かいご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

【文:弁護士西田陽子】

2026年02月23日